相続した実家を売ると、利益に税金がかかります。ただし条件を満たせば、その利益から最大3,000万円を差し引ける制度があります。「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、通称・空き家特例です。
この制度、条件そのものより書類集めのほうが面倒です。とくに親御さんが最期を介護施設で過ごされた場合は、通常より提出するものが増えます。
この記事では、何をどこに、どの順番で出すのかを整理します。条件そのものについては相続空き家の3,000万円特別控除、柏市の実家で使える?条件チェックをあわせてご覧ください。
まず知っておきたい「二段構え」
よくある誤解が、「閉栓証明書や介護保険の被保険者証を税務署に出す」というもの。これは違います。
正しい流れは二段構えです。
- 市役所に書類を出して、「被相続人居住用家屋等確認書」を発行してもらう
- その確認書を税務署に持っていって確定申告する
閉栓証明書も介護保険の被保険者証も、すべて1の段階で市役所に出すものです。税務署に出すのは、発行された確認書のほう。税務署より先に市役所、と覚えてください。ここを取り違えると二度手間になります。
| 段階 | 出す先 | 主なもの |
|---|---|---|
| STEP1 | 家屋がある市区町村 | 申請書・除票・登記事項証明書・閉栓証明書など |
| STEP2 | 同上(施設入所の場合の追加分) | 被保険者証・入所契約書・使用量の明細など |
| STEP3 | 税務署(翌年の確定申告) | 確認書・譲渡所得の内訳書・契約書の写しなど |

「施設に入っていたから対象外ですよね」と、調べる前に諦めてしまう方が多いところです。平成31年から対象になっています。
STEP1:市役所に出す書類(共通)
提出先は、家屋がある市区町村の窓口です。柏市の家なら柏市、流山市の家なら流山市。売った方の住所地ではありません。
- 被相続人居住用家屋等確認申請書(市のHPからダウンロード)
- 亡くなった方の住民票の除票
- 相続人全員の住民票
- 家と土地の登記事項証明書(解体済みなら「閉鎖事項証明書」)
- 売買契約書のコピー
- 電気・水道・ガスの閉栓証明書
- 解体した場合は、解体後〜引渡しまでの土地の写真
申請書の様式は売った日によって変わります。令和6年1月1日以降の売却は新しい様式なので、必ず市のHPで現行のものを確認してください。
STEP2:介護施設に入っていた場合の追加書類
ここが本題です。
以前この特例は、「亡くなる直前まで自宅に住んでいた方」の家しか対象になりませんでした。平成31年4月以降は、要介護認定を受けて施設に入っていた場合も対象になっています。
そのかわり、それを証明する書類が3種類必要です。
① 要介護認定を受けていたこと
- 介護保険の被保険者証のコピー
- または障害福祉サービス受給者証のコピー
- 要介護認定の決定通知書でも可
② いつからいつまで、どの施設にいたか
- 入所契約書のコピー
- 施設の名称・所在地・種別がわかるもの
- 亡くなるまで利用料を払っていたことがわかる領収書や通帳
③ 施設に入ったあとも、その家が生活の拠点だったこと
- 電気や水道の使用量がわかる明細
- 施設に残っている外出・外泊の記録のコピー
③を意外に思われるかもしれません。「施設に入ったあと、その家を貸したり他人の物置にしたりしていませんね」という確認です。誰かに貸していたり、親族以外が使っていたりすると対象外になります。
なお途中で別の施設に移っていた場合は、戸籍の附票も追加で必要です。

税務署に行く前に市役所。この順番だけは間違えないでほしい。逆にやると二度手間だよ。
STEP3:税務署に出す書類
売った翌年の確定申告で提出します。ここまで来ればあと少しです。
- 譲渡所得の内訳書
- 被相続人居住用家屋等確認書(STEP1でもらったもの)
- 登記事項証明書など
- 売買契約書の写し(売却代金が1億円以下であることの確認)
- 耐震リフォームして売った場合は、耐震基準適合証明書
あわせて、取得費がわかるもの(親御さんが買ったときの契約書)と譲渡費用の領収書(仲介手数料・解体費用)も用意しておくと、計算がスムーズです。
つまずきやすい3つのポイント
閉栓証明書が出ない
電力会社やガス会社によっては証明書を発行してもらえないことがあります。その場合は、料金の請求書・領収書・通帳のコピー・クレジットカードの明細(最後の引き落とし日がわかるもの)で代用できることがあります。不動産会社が「現況:空き家」と記載した広告のコピーを認める自治体もあります。窓口に相談すれば代替手段を教えてもらえます。
写真を撮り忘れる
解体してしまうと、もう撮り直せません。取り壊す予定があるなら、着工前に撮影日が入る形で撮っておいてください。
確定申告の直前に動き出す
確認書の発行には1〜2週間かかります。2月に入ってから動くと間に合いません。売却が決まった時点で市役所に相談を始めるのが安全です。

解体する前に、日付入りで写真を撮ってください。壊してからでは撮り直せません。
期限と控除額の注意
- 控除額は3,000万円。ただし令和6年1月1日以降の売却で、家と土地を相続した人が3人以上いるときは2,000万円になります
- この特例が使えるのは令和9年12月31日までの売却まで
- さらに、相続した日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、という期限もあります
- 対象は昭和56年5月31日以前に建てられた家です
期限が二重にかかるので、逆算が要ります。税金まわりの整理は売却の税金・使える特例の整理もご覧ください。
柏・東葛エリアでの進め方
リノーズでは、柏市・流山市・松戸市・野田市・我孫子市で相続した空き家について、売却のご相談と並行して書類の段取りもお手伝いしています。どの窓口に何を出すか、解体前に何を残しておくか、売却時期をいつに置くか。このあたりは売り方とセットで決めたほうが早く済みます。
荷物が残ったままでも、建物が古くても、現況のまま直接買取が可能です。仲介と買取の両方の金額をお出ししたうえで、どちらが手取りで有利かを比べてご判断いただけます。
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まとめ
書き出すと多く見えますが、ひとつずつ潰していけば終わります。押さえるべきは2つだけです。
- 売ると決めた早い段階で市役所に相談すること
- 解体前に写真を撮っておくこと
この2つさえ押さえておけば、あとは順番の問題です。介護施設に入っていたから対象外、と自己判断で諦めてしまうのがいちばんもったいないパターンですので、まずは一度ご相談ください。




