「実家の天井にシミがあって、廊下を踏むとふかふかするところもあります。この家は売れますか」。柏市で不動産の買取・仲介をしているリノーズ株式会社 代表取締役の美澤由佳子です。人が住まなくなった家は、雨漏りとシロアリが同時に進みます。
結論から書きます。雨漏りもシロアリも、あること自体で売れなくなるわけではありません。売れなくなるのは、黙って売ったときです。そしてもうひとつ、先に直してしまうと、かけた修繕費が売値に戻らないことがよくあります。直すより先に「現況のままいくらか」を聞く。順番はこれだけです。
雨漏り・シロアリがあっても、家は売れます
築40年前後の木造戸建てでは、買い手が見ているのはほとんど土地です。建物の評価は築20〜25年あたりで土地値中心に移ります。ですから雨漏りやシロアリは「売れる/売れない」の話ではなく、いくら引けばいいかの話に変わります。
実際に売れないのは、不具合がある家ではありません。不具合の範囲が分からない家です。買い手は分からない部分をいちばん大きく見積もるので、調べていない状態がいちばん安くなります。

天井のシミを見て「もう売れない」と思わないでください。値段が付かない家より、範囲が分からない家のほうが売れません。
直す前に、その修繕費は売値に戻るか
ここがこの記事でいちばんお伝えしたい点です。修繕にかけたお金は、同じ額だけ売値に乗るわけではありません。
- 戻りやすい家…駅から徒歩10分以内で、そのまま住める状態に近い。買い手が実際に住む家として見ている
- 戻りにくい家…築40年超で土地値が主。買い手は解体して建て替えるつもりで見ている
建て替え前提で買う人にとって、直した床や張り替えた屋根は壊す対象です。つまり価格には乗りません。解体費の見積りも、傷んでいるかどうかでは大きく変わりません。
シロアリの駆除はいくらか
民間の見積り集計(ミツモア、2025年7月更新)では、駆除費用の坪単価は税込2,200円〜5,500円程度。施工範囲は延床面積ではなく1階の床下面積です。
| 床下面積 | 相場の幅(税込) | 大手業者の例 |
|---|---|---|
| 20坪 | 44,000〜110,000円 | 16万円台〜21万円台 |
| 30坪 | 66,000〜165,000円 | 24万円台〜31万円台 |
| 40坪 | 88,000〜220,000円 | 32万円台〜42万円台 |
バリア工法の薬剤の効果は5年程度で、保証も最長5年が多いとされています。つまり駆除は一度やれば終わりではありません。売るまでに数年かかるお宅では、この点も含めて考えてください。
なお、被害が柱や土台まで及んでいる場合は、駆除とは別に大工工事が必要になります。金額は範囲で決まるので、見積りは駆除と補修を分けて出してもらってください。

駆除に数十万円払ってから売ったのに、売値は一円も上がらなかった。この順番の失敗がいちばん多いんだ。
雨漏りの修理はいくらか
同じ集計(2026年10月更新)では、雨漏り修理の実際の支払額の中央値は48,400円。5万円以下で済んだ方が54%、10万円以上かかった方が26%です。原因調査だけなら9,000〜12,000円程度とされています。
金額が大きく動くのは、原因が複数あるとき、足場が必要なとき、下地まで傷んでいるときです。屋根全体のふき替えになれば、金額の桁がひとつ上がります。
ここでも順番は同じです。まず調査だけ受けて、原因と範囲を紙にしてもらう。直すかどうかは、そのあとで決められます。
黙って売ると、修理代より高くつきます
いちばん避けたいのは、知っている不具合を伝えずに売ることです。引き渡した後に雨漏りが出れば、買主は修理費を請求できます。しかも売主が知りながら告げなかった事実には、免責の特約が及びません(民法572条)。
伝えるための書類が、物件状況等報告書(告知書)です。雨漏り・シロアリ・給排水の不具合・過去の修理歴などを売主が書きます。「書くと値段が下がるのでは」とご心配される方がいますが、書いて下がる額より、黙って請求される額のほうがはるかに大きいです。
当社では査定は無料、最短30分で価格をご回答し、しつこい営業はいたしません。「この状態で値段が付くのかだけ知りたい」というご相談でも構いません。相続した家や空き家の出口は空き家の買取・相続のご相談をご覧ください。

直すかどうかは、現況のままの価格を聞いてから決めてください。順番を変えるだけで損が減ります。
買主ができる4つの請求
引き渡した物が契約の内容に適合していないとき、買主は次の4つを請求できます。
- 追完請求…売主の費用で補修させる(雨漏りの修理など)
- 代金減額請求…売主が補修に応じないとき、不適合に相当する額の減額を求める
- 損害賠償請求…売主に過失がある場合に認められる
- 契約解除…売主が修理に応じないとき。契約不適合を理由とする解除なら買主に違約金は発生しない
民法では、買主が不具合を知ったときから1年以内に通知しないと権利を行使できません。ただし契約で別の期限を定めたときは、契約の定めが優先します。
免責特約は、書いたことまでしか守ってくれない
個人が売主の中古住宅では、契約不適合責任を負わない(免責)とする特約を入れることがよくあります。築古の実家を売るときには現実的な方法です。
ただし先に書いたとおり、知りながら告げなかった事実は免責されません。免責特約が効くのは、売主も知らなかった不具合です。だから免責特約と告知書は、どちらか一方ではなく両方をそろえます。残置物ごと現況で売るときの契約の組み方と同じ考え方です。
建物状況調査(インスペクション)を使う手
建築士などによる建物状況調査を先に受けて、その結果を売主と買主の両方が確認してから引き渡す方法もあります。不具合の範囲が紙になるので、引き渡し後のもめごとが起きにくくなります。
向いているのは、建物をそのまま使ってもらえる見込みがあるお宅です。解体前提で売る土地では、調査の費用が価格に返ってこないこともあります。費用対効果は仲介会社と相談して決めてください。
直してから売る家・現況のまま売る家
| お宅の状態 | 向いている進め方 |
|---|---|
| 駅徒歩10分以内。雨漏りが1か所で原因も特定できている | 調査と部分補修をして、仲介で住む人に売る |
| シロアリが土台まで及んでいる、雨漏りが複数 | 現況のまま。免責特約+告知書をそろえて売る |
| 築40年超で駅から遠い。残置物も多い | 直さない。買取と仲介の金額を並べて手取りで比べる |
「とりあえず直しておこう」がいちばん戻れない選択です。手取りの計算は、修繕費を払う前に一度出しておいてください。
動き出す順番(5ステップ)
- 不具合の場所を写真に撮り、気づいている範囲をメモにする
- 現況のままの価格を聞く。仲介の想定価格と買取価格の両方
- 雨漏りは調査だけ受け、原因と範囲を紙にしてもらう(1万円前後)
- 修繕費を払って売値がいくら上がるかを、仲介会社に確認する
- 上がらないなら直さない。告知書と免責特約をそろえて売る
3番と4番を飛ばして工事を頼んでしまうご相談が、毎年あります。
リノーズにできること
私たちは柏市・松戸市・流山市・我孫子市・野田市で、相続した実家や空き家を扱っています。雨漏り・シロアリのご相談では2つをお出しします。①現況のままの買取価格と、仲介で売った場合の想定価格。②直した場合に売値がどれだけ変わるかの見込みです。
代表は前職でリフォームと賃貸管理を15年みてきました。どこまで直せば足りるか、直しても戻らないかの線は、現場を見れば判断できます。片付けや残置物の処分は実家まるごとパックでお引き受けできます。
まとめ
- 雨漏り・シロアリがあっても売れる。売れないのは範囲が分からない家
- 土地値中心の家では、修繕費は売値に戻らないことが多い
- シロアリ駆除は30坪で6万〜17万円程度(床下面積・税込の目安)
- 雨漏り修理の支払額は中央値48,400円。調査だけなら1万円前後
- 知りながら告げなかった事実は免責されない(民法572条)
- 免責特約と告知書は、両方そろえて初めて機能する
- 直す前に、現況のままの価格を聞く
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