「沼南の実家を売りたいと相談したら、調整区域だから難しいと言われた」。高柳新田や藤ケ谷のお宅で、よくあるご相談です。旧沼南町のエリアは2005年に柏市と合併しましたが、土地の性格は合併で変わりません。市街化調整区域が広く、農地が付いている家も多い。
先に結論をお伝えします。売れます。ただし価格の9割を決めるのは「建て替えができるか」です。そこが立つかどうかで、住宅ローンを使う一般の買い手が入れるかが変わり、金額が倍近く動きます。そして藤ケ谷には、騒音というマイナスと、国の防音工事助成というプラスが同時にあります。
この2つの町の成り立ち
高柳新田は東武野田線(東武アーバンパークライン)高柳駅の周辺にあたります。駅に近い区域と、少し離れた昔からの集落が混在しています。藤ケ谷は高柳駅や六実駅からバス・車の距離で、海上自衛隊下総航空基地があるエリアです。
建物は昭和40〜50年代の農家住宅と、あとから入った分譲の戸建てが混ざります。木造で築40〜50年という物件が多く、建物の評価はほとんど残らず、価格は土地で決まります。土地値の考え方は築40年の実家はいくらで売れる?に書きました。

「調整区域だから無理」と言われて諦めてしまう方が多いのですが、まず番地で線引きを確認してください。同じ町名でも分かれます。
まず「市街化区域か調整区域か」を番地で確認する
同じ町名の中で線引きが分かれます。丁目でも分かれません。番地単位です。柏市の都市計画課で確認できます。
旧沼南のエリアでも扱いは一様ではありません。沼南中央地区は市街化区域に編入されたことに伴い、2010年12月3日に建築形態規制が廃止されています。「旧沼南だから調整区域」ではないので、人の話ではなく市の回答で判断してください。
調整区域の建ぺい率・容積率は柏市が別に決めている
柏市は市街化調整区域の建築物の形態規制値を区域ごとに定めています(平成16年5月1日から適用)。
| 区域 | 容積率 | 建ぺい率 |
|---|---|---|
| 下記以外の市街化調整区域全域(沼南区域を含む) | 200% | 60% |
| 利根川河畔地区 | 80% | 40% |
| 大堀川河畔地区 | 100% | 50% |
| 手賀沼河畔地区 | 80% | 40% |
高柳新田・藤ケ谷は「全域」の200%・60%にあたる区域が多いのですが、手賀沼寄りの区域は手賀沼河畔地区の指定で80%・40%に強化されている場合があります。建ぺい率が60%から40%に落ちると、同じ土地に建てられる家が一段小さくなります。買い手の層が変わるので、価格に直接響きます。該当するかどうかは番地で確認してください。

調整区域でいちばん怖いのは、建て替えられると思って買った人が後で許可が下りないと分かることです。だから先に市で確かめるんです。
価格の9割を決めるのは「建て替えできるか」
市街化調整区域は原則として建築が制限され、既存の適法建築物の建替えなど所定の条件を満たす場合のみ建てられます。手続きは都市計画法に基づく許可です。
査定の前に確認しておくと話が早いのは、次の3つです。
- その家がいつ建ったか。線引き(都市計画の区域区分)の前か後かで扱いが変わります。
- 建築確認と検査済証があるか。適法に建てられた建物であることの裏付けになります。
- 過去に開発許可や建築許可を受けているか。許可の内容に用途や人の条件が付いていることがあります。
建て替えの見込みが立てば、買主は住宅ローンが使えます。立たなければ現金で買える方か買取に限られ、価格は大きく下がります。沼南エリア全体の傾向は大津ヶ丘・高柳・藤心の売却にも書いています。
藤ケ谷の航空機騒音は、マイナスだけではない
藤ケ谷には海上自衛隊下総航空基地があります。売主としては、航空機騒音は買主に伝えるべき事柄です。隠して売ることはできません。
一方で、国は下総航空基地に離着陸する航空機の騒音を防止・軽減するため、住宅防音工事助成対象区域内にある住宅の所有者または居住者が防音工事を行う場合に、一定の基準により助成を行っています。対象区域の確認や工事の相談は北関東防衛局(048-600-1821)、区域の縦覧は千葉防衛事務所(043-221-3541)で行えます。
ここが実務の勘所です。「うるさいですよ」とだけ伝えると買い手は引きます。助成対象区域かどうかを調べ、制度の窓口まで資料にして渡すと、買い手にとって不安が数字に変わります。隣接する鎌ケ谷市も周辺の航空機騒音の実態調査を公表しているので、客観的な資料として使えます。

藤ケ谷は騒音をマイナスとだけ見ないでください。防音工事の助成対象かどうかを調べて資料にすると、買い手の不安が数字に変わります。
農地が一緒に付いているとき
このエリアでは、田や畑が同じ名義に入っていることが珍しくありません。農地は農地法の許可がないと宅地として売れません。市街化調整区域の農地転用は農業委員会を経由した県知事の許可になり、時間がかかります。
対策は単純で、売却の相談と同時に動き出すことです。まず固定資産税の名寄帳で、名義に入っている地番を全部出してください。農地つきの実家の進め方は野田市の実家・空き家の売却にまとめています。
高柳新田・藤ケ谷で価格が下がりやすい条件
- 建て替え許可の見込みが立たない … 住宅ローンが使えず買い手が限られる
- 前面道路が私道、幅4メートル未満、または建築基準法の道路でない … 建築そのものができない
- 上下水道が未接続(井戸・浄化槽) … 引き込み費用を引かれる
- 手賀沼河畔地区で建ぺい率40% … 建てられる家が小さくなる
- 残置物が多い・傷みが進む・境界が未確定 … 内見と融資の両方で不利になる
仲介と買取、どちらで出すか
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 価格 | 市場価格を狙える | 仲介より抑えめ |
| 期間 | 調整区域は半年以上かかることも | 数日〜数週間 |
| 建て替え不可の物件 | 買い手が現金客に限られる | そのまま引き取れる |
| 農地つき | 許可待ちで止まりやすい | 手続きごと引き受けられる |
高柳駅に近く建て替えの見込みが立つ物件は、仲介で時間をかける価値があります。逆に許可の見込みが読めない、農地が付いている、遠方で通えない場合は買取のほうが手取りが多くなることもあります。
リノーズにできること
私たちは柏市・松戸市・流山市・我孫子市・野田市で不動産の買取と仲介をしています。旧沼南のエリアでは、まず市で線引きと建て替えの見込みを確認し、前面道路・上下水道・境界・農地の有無まで見たうえで価格をお出しします。藤ケ谷では防音工事助成の対象区域かどうかも調べて資料にします。仲介で売る場合の想定価格と、当社が買い取る価格を両方お出しして比べていただく形が多いです。荷物の処分ごとご希望の方には実家まるごとパックもあります。売却全体の流れは不動産売却のページをご覧ください。
まとめ
- 高柳新田・藤ケ谷は調整区域が広く、築40〜50年の木造が主役。価格は土地で決まる
- 市街化区域か調整区域かは番地で分かれる。市の回答で判断する
- 調整区域の建ぺい率は原則60%だが、手賀沼河畔地区では40%に強化される
- 価格の9割は「建て替えできるか」。建築確認・検査済証・過去の許可を先に確認する
- 藤ケ谷の騒音は伝える義務がある一方、国の住宅防音工事助成が買い手の後押しになる
- 農地つきは県知事の許可に時間がかかるので、売却相談と同時に動く
調整区域の実家は、建て替えの見込みが分かると話が一気に進みます。無料査定は最短30分で価格と査定書をメールでお届けします。荷物ごと手放したい方は実家まるごとパックをご覧ください。
(執筆:リノーズ株式会社 代表取締役 美澤由佳子)



