柏市の南東、旧沼南町にあたる大津ケ丘・高柳・藤心・手賀のあたり。相続した実家がこのエリアにあるとき、いちばん多いご心配は「駅から遠いし、調整区域だから売れないのではないか」です。
結論から書きます。売れます。ただし、買う人の種類と売り方が市街化区域とは変わります。高柳駅の周辺のように評価が上がってきた場所もあり、同じ旧沼南町のなかでも条件の幅がとても広いエリアです。
この記事では、それぞれの地区の成り立ち、売れやすい物件と売りにくい物件、市街化調整区域の家をどう売るか、そして相続・空き家で多いご相談を整理します。
沼南エリアはどんな場所か
旧・東葛飾郡沼南町は、2005年(平成17年)3月28日に柏市と合併しました。いまの柏市の南東部から手賀沼の南岸にかけての一帯で、大津ケ丘・高柳・藤心・手賀・大井・塚崎・大島田などが含まれます。
柏駅前のような商業地ではなく、団地と戸建ての住宅地、そして農地が混ざった土地です。市役所の沼南庁舎や大型商業施設のセブンパークアリオ柏は大島田にあり、日常の買い物は車前提の地区が多くなります。
売却で押さえておきたいのは、この一帯に市街化区域と市街化調整区域が入り混じっていることです。同じ町名のなかでも、道路一本で扱いが変わります。ここを先に確認しないと、価格の見積もりが根本からずれます。

沼南のあたりは「調整区域だから売れない」と思い込まれている方が多いのですが、買える方の探し方が変わるだけなんです。
大津ケ丘——昭和53年からの計画団地
大津ケ丘は国道16号をまたいで東西に広がる、区画と道路が規則的に整えられた住宅地です。大津ケ丘団地の成立は1978年(昭和53年)。団地の設立とともに大津ケ丘中央商店会が発足し、いまも地元の商店街として続いています。
鉄道駅はありませんが、大津ケ丘団地と柏駅東口を結ぶバスは休日でも1時間に4〜5本、所要時間は20分前後。通勤・通学の時間帯はさらに増えます。駅がないことと、交通の便が悪いことは別という典型的な例です。
ご相談で多いのは、1970年代後半から1980年代に入居された世代の住宅です。集合住宅の一室であれば、まず確認するのは室内より管理費・修繕積立金の滞納の有無と積立金の残高。滞納は買主に引き継がれるため、そのまま価格から差し引かれます。戸建てなら接道と越境、境界標の有無が先です。
高柳——急行が停まる駅になった
高柳駅は東武野田線(東武アーバンパークライン)の駅で、所在地は柏市高柳。柏市の南端にあたり、松戸市・鎌ケ谷市との境界に近い位置です。この10年で駅の条件が大きく変わりました。
- 2018年10月28日 橋上駅舎の使用開始
- 2019年11月17日 高柳駅〜逆井駅間が複線化
- 2019年12月15日 高柳駅〜六実駅間が複線化
- 2020年3月14日のダイヤ改正で急行の停車駅に
1日平均の乗降人員は2023年度で1万5千人台です。駅の東側には海上自衛隊下総航空基地があり、県道8号(船橋我孫子線)が通ります。
売却の観点では、駅から歩ける市街化区域の戸建てと、少し離れた調整区域の家で、まったく別の商品になるのがこの地区の特徴です。駅徒歩圏なら建て替え前提の買主がつきますが、離れた集落部は次の項のとおりです。

市街化調整区域は住宅ローンが通りにくいことがある。だから買主が現金の人か、事業者に寄っていくんだよな。
藤心・手賀——調整区域と農地つきの実家
藤心は増尾・逆井の南東に続く一帯で、市街化区域と市街化調整区域が入り混じります。逆井・増尾の売却事情は増尾・逆井の実家、いくらで売れる?に書きました。
手賀は手賀沼の南側で、農地が広がる地区です。ここで多いのが、住宅と畑がセットで残っている実家です。農地が含まれると、売却には農地法の手続き(農地のまま売るなら3条許可、宅地などに転用するなら4条・5条の許可や届出)が必要になり、買主も限られます。手続きの窓口は農業委員会です。
また、調整区域の古い集落では、建物が未登記だったり、増築部分が登記されていなかったりすることがよくあります。境界標がない土地も少なくありません。これらは売る直前に見つかると日程が崩れるため、早めに確認しておく項目です。
市街化調整区域の家は売れるのか
「調整区域だと建て替えができない」と聞いて、売るのをあきらめてしまう方がいます。実際はもう少し細かい話です。
- 既存の住宅の建て替え:都市計画法の線引き前から宅地だった土地や、過去に開発許可を受けた土地では、一定の条件のもとで建て替えが認められる場合があります。可否と条件は物件ごとに市の窓口で確認するしかありません
- 住宅ローン:調整区域の物件は金融機関によって融資が通りにくいことがあります。ここが買主を狭める最大の要因です
- 買主の顔ぶれ:結果として、現金で買える人、地元で土地を探している人、事業者に寄っていきます。都心向けのポータルサイトに出すだけでは動きません
柏市は市街化調整区域の建築物の形態規制値を定めています。建て替えができるかどうか、できるとしてどの大きさまでかは、必ず市の建築指導・都市計画の窓口で確かめてください。ここを曖昧にしたまま売り出すと、契約後に話が壊れます。

先に確認するのは市街化調整区域かどうかと、建て替えができるかどうか。この2つで売り方がほぼ決まります。
売れやすい物件と、売りにくい物件
| 売れやすい | 売りにくい(工夫が要る) | |
|---|---|---|
| 区域 | 市街化区域/高柳駅の徒歩圏 | 市街化調整区域/建て替えの可否が未確認 |
| 土地 | 幅4メートル以上の道に2メートル以上接する整形地 | 接道が足りない/私道で通行承諾がない/旗竿地 |
| 建物 | 昭和56年6月以降の新耐震/雨漏りなし | 旧耐震で傷みが進む/未登記の増築がある |
| 付属 | 住宅のみ、または宅地のみ | 農地つき(農地法の手続きが必要)/納屋・作業場が残る |
| 状態 | 荷物があっても通路が確保されている | 玄関から進めない/庭木が隣家に越境 |
「売りにくい」は「売れない」ではありません。買主の種類が変わる、売り方を変える必要がある、というだけです。
相続・空き家で多いご相談
- 親が施設に入り、家と畑が空いたまま数年たった:草が伸びて近隣から声がかかり、そこで動き出すパターンです
- 兄弟が県外にいて話がまとまらない:そのあいだも固定資産税と管理の手間は続きます。年間コストは柏市の空き家、固定資産税は年いくら?に計算方法を書きました
- 相続登記をしていない:令和6年4月から申請が義務です。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。施行日より前の相続も対象で、令和9年3月31日までが期限。柏市の不動産なら千葉地方法務局柏支局が窓口です
- 建物が未登記だった:古い集落では珍しくありません。売る前に登記するか、契約の書き方で整理します
- 火災保険が失効していた:空き家は住宅用の契約を継続できない場合があります。保険会社に確認してください
仲介と買取、どちらで売るか
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 価格 | 市場価格に近い | 仲介より下がる |
| 期間 | 3〜6か月が目安。調整区域は長引くことも | 条件が合えば数週間〜 |
| 内見 | あり。片付けと立ち会いが必要 | なし |
| 荷物・納屋 | 原則として片付けが必要 | 残したままで可 |
| 仲介手数料 | 3%+6万円+消費税 | かからない |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 免責の特約で合意できるのが通常 |
高柳駅の徒歩圏や大津ケ丘の整形地なら、まず仲介で反応を見る価値があります。反対に、調整区域で建て替えの可否がはっきりしない土地、農地つきの実家、接道が足りない土地は、仲介で半年止まるより買取で日程を決めたほうが負担が軽いことがあります。空き家全般の扱いは空き家の売却にまとめました。
価格の目安はどう調べるか
このエリアを「坪いくら」と一言で言うことはできません。市街化区域か調整区域か、建て替えができるか、農地が付くかで、同じ町内でも倍以上の差がつきます。目安を知りたいときは次の順で調べてください。
- 都市計画の確認:市街化区域か調整区域か、用途地域、道路の種類。市の窓口や都市計画情報で分かります
- 近隣の成約事例:売り出し価格ではなく成約価格を見ます。不動産会社に依頼すれば無料で調べられます
- 路線価・公示地価:国税庁の路線価図、国土交通省の不動産情報ライブラリ
相場は時期で動きます。数字は目安として受け取り、最終的には物件ごとに査定を取ってください。
リノーズにできること
私たちは柏市を拠点に、東葛エリアで不動産の買取と仲介をしています。沼南エリアのご相談では、最初に市街化調整区域かどうか、建て替えができるか、農地や未登記の建物が含まれていないかを調べます。ここが分からないまま価格の話をしても意味がないからです。
そのうえで「仲介で売り出した場合」「私たちが買い取った場合」の2つの数字を、費用の内訳ごと並べてお出しします。荷物が残ったまま、納屋や庭木がそのままで構いません。
片付けから登記、引渡しまでまとめてお任せになりたい方には実家まるごとパックがあります。県外にお住まいで現地に行けない方も、立ち会いなしで進められます。
まとめ
- 旧沼南町は2005年3月28日に柏市と合併。市街化区域と調整区域が入り混じる
- 大津ケ丘は1978年からの計画団地。駅はないが柏駅東口までバスで20分前後、休日でも1時間4〜5本
- 高柳駅は2018年に橋上駅舎化、2019年に複線化、2020年から急行停車。乗降人員は2023年度で1万5千人台
- 藤心・手賀は調整区域と農地が多い。農地が付くと農地法の手続きが必要
- 調整区域は住宅ローンが通りにくく、買主が現金の人や事業者に寄る
- 建て替えの可否は必ず市の窓口で確認する。曖昧なまま売り出すと契約後に壊れる
- 相続登記は令和6年4月から義務。過去の相続は令和9年3月31日まで
まずは今の値段と、建て替えができる土地かどうかを知るところからです。無料査定は最短30分で価格と査定書をメールでお送りします。町名と、分かる範囲の土地の広さ・築年数をお書き添えください。
リノーズ株式会社 代表取締役 美澤由佳子



