「柏市役所から、空き家のことで封書が届いた」。この一言から始まるご相談が、秋になると増えます。中を開くと「空家等の適正な管理について(お願い)」のような題名で、現地の写真が同封されていることもあります。差出人は柏市の都市部住宅政策課。心当たりがあるからこそ、封を開けたまま机の上に置いてしまう方が少なくありません。
先に結論をお伝えします。最初に届く通知は「助言・指導」で、罰則はありません。注意すべきは次の「勧告」です。勧告まで進むと、建物を解体しなくても、売らなくても、翌年の固定資産税が一気に上がります。逆に言えば、通知が来た時点では選べる手がまだ全部残っています。
柏市から届く「空き家の通知」は何の書類か
柏市は、近隣の方から「隣の空き家の草木がはみ出している」「瓦が落ちそうだ」といった相談を受けると、現地調査と所有者調査を行い、所有者・管理者に対して助言または指導を行います。窓口は都市部住宅政策課(電話04-7167-1147)。空き家の利活用や適正管理について相談できる「空家相談員」の制度も用意されています。
つまり最初の通知は、行政処分ではなく「お願い」の段階です。ここで草を刈る、枝を切る、施錠を直す、といった対応をして窓口に返事をすれば、話はそこで終わるケースがほとんどです。

市役所からの封書って、それだけで胃が痛くなりますよね。でも最初の1通は「お願い」の段階で、期限内に動けば終わる話がほとんどです。
通知は4つの段階のどこにいるのか
空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に沿って、市の対応は次の順で重くなります。届いた文書に「助言」「指導」とあるのか「勧告」とあるのかで、意味がまったく違います。
| 段階 | 根拠 | 内容 | 所有者への影響 |
|---|---|---|---|
| ①助言・指導 | 空家法13条・22条1項 | 文書や訪問で改善を求める | 罰則なし。税金も変わらない |
| ②勧告 | 空家法13条・22条2項 | 期限を示して改善を求める | 固定資産税の住宅用地特例が外れる |
| ③命令 | 空家法22条3項 | 勧告に従わない場合に命じる | 違反は50万円以下の過料(30条) |
| ④行政代執行 | 空家法22条9項ほか | 市が解体・伐採などを行う | 費用は全額所有者の負担 |
なお、市の立入調査を拒んだり虚偽の報告をした場合も、20万円以下の過料の対象です(30条)。「無視して様子を見る」がいちばん不利になる仕組みになっています。
いちばん効くのは「勧告」。土地の税金が3〜4倍になる
住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、固定資産税の課税標準が200平方メートルまでの部分で6分の1、それを超える部分で3分の1に下がっています。都市計画税も3分の1です。この特例のおかげで、古い家が建った土地の税額は低く抑えられています。
ところが、勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、この特例の対象から外れます。評価額が変わらなくても、課税標準が6倍になるため、土地の税額は結果として3〜4倍の水準になります(土地の面積や評価額で変わるので、正確な金額は課税明細書での確認が必要です)。空き家の固定資産税の考え方は柏市の空き家の固定資産税はいくら?でも整理しています。

怖いのは罰金より税金のほうですね。勧告が1枚入るだけで、来年の土地の固定資産税がケタ違いになりますから。
2023年12月13日から、「まだ危険ではない空き家」も勧告の対象になった
以前は、勧告の対象は倒壊の危険があるような「特定空家等」だけでした。2023年12月13日施行の改正で、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある状態=「管理不全空家等」も、助言・指導・勧告の対象になりました。柏市のページにもこの改正が明記されています。
これは実務上、かなり大きい変化です。屋根が落ちていなくても、草木が隣地にはみ出している、窓が割れている、雨樋が外れている——その程度でも税金が上がる入口に立ち得る、ということになります。はみ出した枝の扱いは空き家の庭木が隣にはみ出して苦情が来たときに書きました。
命令と代執行まで進むと、請求書が来る
命令に従わないと50万円以下の過料、さらに市が代わりに工事を行う行政代執行まで進むと、その費用は全額所有者の負担です。解体工事そのものの金額が、後から請求書として届く形になります。柏市で30坪の家を解体する費用の目安は柏市で30坪の家を解体するといくら?にまとめました。所有者が亡くなっている場合、負担は相続人に回ります。
実際に代執行まで進む件数は多くありません。ただ、進んだときの金額が大きいので、「うちは大丈夫」で止めずに段階を確認しておく価値があります。

草を刈って終わる空き家か、出口まで決める空き家か。通知はその見極めをする合図だと思ってください。
通知が来たら、まずやる3つのこと
- 文書の段階と期限を確認する。「助言」「指導」「お願い」なら第一段階、「勧告」と書かれていれば税金に直結します。回答期限が書かれていれば、そこが基準になります。
- 写真を撮り、できる応急手当をする。草刈り、枝の切り戻し、施錠、火災保険の確認。草刈りの費用相場は柏市の空き家の草刈り費用を参考にしてください。着手前と後の写真は、窓口への報告でそのまま使えます。
- 窓口に「いつまでに何をするか」を伝える。連絡がある所有者と、連絡が取れない所有者では、市の扱いが変わります。すぐ直せない事情があるなら、それも含めて伝えたほうが安全です。
直して持ち続けるか、売るか
応急手当のあとに決めるのは、この家をこの先どうするかです。誰も住まない家を持ち続けると、固定資産税・火災保険・管理や草刈りで年間15万〜40万円ほどが出ていきます。内訳は誰も住まない実家を「売る・貸す・持つ」で比べた記事に表で載せました。
売る場合、片付けが終わっていないから無理、という思い込みは不要です。荷物が残ったまま、傷んだままの状態でも買取なら引き取れます。市から通知が来ている物件でも、売却自体は止まりません(買主に事実を伝える必要はあります)。空き家の売却の進め方は空き家売却のページにまとめています。
リノーズにできること
私たちは柏市・松戸市・流山市・我孫子市・野田市で、相続した家や空き家の買取と仲介をしています。通知が届いた物件は、まず現地を見て「応急手当で済むのか、出口を決めたほうがよいのか」をお伝えします。荷物の処分から売却までまとめてお引き受けする実家まるごとパックもあります。遠方にお住まいで現地に行けない方からのご相談も多いので、写真と図面だけでも大丈夫です。
まとめ
- 最初の通知は「助言・指導」で罰則なし。対応して返事をすれば終わる段階
- 「勧告」に進むと住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税は3〜4倍の水準に
- 命令違反は50万円以下の過料、代執行の費用は全額所有者負担
- 2023年12月13日から、危険になる前の「管理不全空家等」も勧告の対象
- 片付いていなくても売れる。通知が来た時点なら選択肢は全部残っている
市からの通知を前に迷っているなら、現地を見てから決めましょう。無料査定は最短30分で価格と査定書をメールでお送りします。実家まるごとパックなら、荷物の処分と売却をまとめてお任せいただけます。
(執筆:リノーズ株式会社 代表取締役 美澤由佳子)



