柏市やその周辺で実家を相続したあと、いちばん多いご相談が「誰も住まないのだけれど、どうしたらいいか分からない」というものです。兄弟で意見が分かれる、思い出があるから決めきれない、とりあえず固定資産税だけ払っている。どれもよく聞くお話です。
選択肢は結局のところ「売る」「貸す」「持ち続ける」の3つしかありません。この記事では、その3つを手取り(出ていくお金と入ってくるお金の差)で並べる方法を、柏市の戸建てを想定して整理します。金額はすべて目安で、物件の広さ・築年・場所によって変わります。
結論:いちばん費用が読めないのは「とりあえず持つ」
先に結論を書きます。3つのうち、「決めずに持ち続ける」がいちばん静かにお金が減っていく選択です。税金と維持費が毎年出ていくうえに、建物は傷み、相続税の特例には期限があるからです。
逆に言えば、持ち続けること自体が悪いわけではありません。「年にいくらかかるのか」を知ったうえで選んでいるなら、それは立派な判断です。問題は、金額を知らないまま時間だけが過ぎることです。

どれかに決めなきゃと焦らなくて大丈夫です。ただ「まだ決めない」にも年15万〜40万円の値札が付いている、そこだけ覚えておいてください。
「持つ」を選んだとき、毎年出ていくお金
柏市の一般的な戸建て(土地40〜50坪、木造2階建て)を空き家のまま持ち続けた場合、年間でかかるお金の目安は次のとおりです。
| 項目 | 年間の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 6万〜15万円 | 住宅用地の特例が効いている状態 |
| 火災保険 | 2万〜6万円 | 空き家は条件が変わり、割高になることがある |
| 管理(巡回・通風・郵便物) | 6万〜12万円 | 代行に頼む場合。自分で通えば交通費 |
| 草刈り・庭木 | 3万〜8万円 | 年2回程度 |
| 電気・水道の基本料金 | 1万〜3万円 | 止めない場合 |
合計すると年15万〜40万円。5年持てば75万〜200万円です。これに加えて、建物は確実に古くなり、売るときの価格は下がっていきます。くわしい内訳は遠方の空き家、管理を代行してもらうと年いくら?と柏市の空き家、固定資産税はいくら?にまとめています。
さらに、管理が行き届かない状態が続くと、市から「管理不全空家」や「特定空家」として指導・勧告を受けることがあります。勧告まで進むと住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が数倍になります。放置したときに起きることは相続した実家を放置すると起きることで詳しく書きました。
「貸す」は収入になるが、税の特例を1つ失う
「せっかくあるのだから貸せばいいのでは」というお考えも、もちろんあります。柏市郊外の築古戸建てなら、家賃の目安は月7万〜10万円。年間84万〜120万円の収入です。
ただし、貸す前に次の3つを必ず確認してください。
- 貸せる状態にするための費用 — 水まわりの交換、給湯器、クロス、残置物の撤去。築40年の戸建てだと100万〜300万円かかることが多く、回収に3〜4年かかります。
- 相続空き家の3,000万円特別控除が使えなくなる — これが最大の落とし穴です。
- 貸したあとに売ると価格が変わる — 入居者がいる状態(オーナーチェンジ)での売却は、家賃から逆算した収益価格で評価されるため、自分で住みたい人に売る価格より安くなるのが普通です。
2つめについて補足します。被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除、いわゆる相続空き家の3,000万円控除には、「相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていたことがないこと」という要件があります(国税庁タックスアンサーNo.3306)。つまり、一度でも人に貸すとこの特例は使えません。
譲渡所得にかかる税率は長期(所有期間5年超)で20.315%ですから、3,000万円の控除を失うと、税負担が最大で600万円前後変わる計算になります。家賃を数年もらうために600万円を手放す形になっていないか、順番を確かめてください。要件の全体像は相続空き家の3,000万円特別控除に整理してあります。

貸した瞬間に3,000万円の控除が消えるんです。税金で600万円違うことがあるのに、知らずに貸し出してしまう人が本当に多い。
「売る」を選んだときに意識する3つの期限
売ると決めた場合、手取りを最大にするために効いてくるのが期限です。
- 相続空き家の3,000万円控除 — 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。昭和56年5月31日以前に建築された家で、被相続人が一人で住んでいたこと、売却代金1億円以下などの要件があります。制度自体の適用期限は令和9年12月31日までの譲渡です(2026年10月時点)。
- 取得費加算の特例 — 相続税を払った人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ると、払った相続税の一部を取得費に加算できます(取得費加算の特例)。
- 相続登記の義務 — 2024年4月から、不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記が義務になりました。名義が親のままだと、そもそも売る手続きに入れません(相続登記の義務化)。
相続で取得した不動産は、亡くなった方の取得日と取得費をそのまま引き継ぎます。親が何十年も前に買った家なら、所有期間は長期になり、税率は20.315%です。ただし購入時の契約書が見つからないと、取得費を売値の5%として計算することになり、税額が大きく膨らみます。
3つを5年間の手取りで並べてみる
土地40坪・築45年・想定売却価格1,800万円の柏市の戸建てで、ざっくり並べるとこうなります(数字はすべて目安です)。
| 売る(1年以内) | 貸す | 持ち続ける | |
|---|---|---|---|
| 最初に出る現金 | 0〜50万円(測量・片付け等) | 100万〜300万円 | 0円 |
| 5年間の支出 | なし | 管理料・修繕・税金で100万円前後 | 75万〜200万円 |
| 5年間の収入 | 売却代金 | 家賃400万〜600万円(満室前提) | 0円 |
| 使える税の特例 | 3,000万円控除・取得費加算 | 3,000万円控除は使えない | 期限切れに注意 |
| 5年後の資産 | 現金 | さらに築50年の家 | さらに築50年の家 |
| 手間 | 一度で終わる | 入居者対応が続く | 見回り・草刈りが続く |
貸すが有利になるのは、建物が比較的新しく、駅に近く、リフォーム費が小さく済むケースです。逆に、駅から遠い・築45年以上・相続空き家の控除が使える、という組み合わせなら、売る方が手取りで勝つことがほとんどです。

売る・貸す・持つの3本の数字は、こちらで作れます。決める前に並べて見てから選んでください。
柏市・東葛エリアで実際に多いパターン
私たちが日々お受けするご相談では、次のような分かれ方をしています。
- 駅徒歩10分以内・土地が整形 — 仲介で売る。買い手がつきやすく、価格も伸びます。
- バス便・土地が広い・残置物が多い — 片付けと売却をまとめて進める。買取も選択肢に入ります。
- 相続人が複数で遠方に住んでいる — 共有のまま持ち続けると次の相続で人数が増え、話がまとまらなくなります。早めに売って現金で分けるほうが揉めません。
- 親が最近まで住んでいた、まだ気持ちの整理がつかない — 無理に急ぐ必要はありません。ただし控除の3年の期限だけはカレンダーに入れておいてください。
迷ったときの3つの質問
どうしても決められないときは、この3つに答えてみてください。
- この家に、今後10年以内に家族の誰かが住む可能性はありますか。(あるなら持つ)
- リフォームに200万円を出して、そのあと入居者の対応を続けられますか。(できるなら貸す)
- 相続が発生してから、もう2年以上たっていませんか。(たっているなら、売るほうへ急いで検討)
リノーズにできること
私たちは柏市に拠点を置き、松戸市・流山市・我孫子市・野田市の実家・空き家・アパートを扱っています。ご相談をいただくと、まず「売った場合」「貸した場合」「持ち続けた場合」の3本の手取りを紙に並べてお見せします。そのうえで、売らないという結論になっても構いません。
残置物が残ったまま、庭木が伸びたままでも買取でお引き受けできる場合があります。片付け・解体の手配から売却までまとめてお任せいただく実家まるごとパックもご用意しています。空き家のご相談だけでも大丈夫です。
まとめ
- 選択肢は「売る」「貸す」「持つ」の3つ。いちばん費用が読めないのは決めずに持つこと
- 空き家を持ち続けると年15万〜40万円が出ていく
- 一度でも貸すと相続空き家の3,000万円控除は使えなくなる(税負担で最大600万円前後の差)
- 控除の期限は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日
- 駅遠・築45年以上・控除が使える、なら売るほうが手取りで勝ちやすい
どれを選ぶにしても、出発点は「今いくらで売れるか」です。無料査定は最短30分で価格と査定書をメールでお送りします。売ると決めていない段階で構いませんので、3本の数字を見てから決めてください。



