親から相続した柏市の実家。名義はまだ親のまま。「いつかやらないと」と思ったまま、何年か経っている——ご相談のなかで、いちばん多い状態です。
結論から書きます。令和6年4月1日から、相続登記の申請は義務になりました。そして義務かどうかより先に、実務としてはっきりしていることがあります。名義が亡くなった方のままでは、その家は売れません。売ろうと決めた日に登記から始めると、そこで3か月止まります。この記事では、柏市の実家について何をどの順番でやるのか、書類と費用の目安を含めて書きます。
結論:登記は「義務」である前に、売却の入口
不動産を売るには、売主が登記名義人である必要があります。名義が亡くなった親のままなら、まず相続人へ名義を移さなければ、契約も引渡しもできません。
ここで問題になるのが時間です。戸籍を集め、相続人を確定し、遺産分割の話をまとめ、法務局へ申請する——スムーズに進んでも1〜3か月、相続人が多ければ半年以上かかります。買主が見つかってから始めると、待たせることになります。
ですから順番はこうです。登記を先に、または査定と同時に進める。売るかどうかを決めていなくても、登記だけは進めて損がありません。

名義が親のままだと、売りたいと思った日から3か月止まります。先に進めておくのが安心です。
令和6年4月から義務化。期限の数え方
相続登記の申請義務化は令和6年4月1日に施行されました。期限の数え方は次のとおりです。
- 自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する
- 正当な理由がないのに申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になる
- 施行日より前に相続した不動産も対象。この場合の期限は令和9年3月31日まで(ただし、相続で取得したことを知った日が令和6年4月以降なら、その日から3年以内)
- 遺産分割が成立した場合は、その成立の日から3年以内に、分割の内容を踏まえた所有権移転登記の申請が必要
「何十年も前に亡くなった祖父の名義のまま」という物件も対象です。柏市のご相談では、これが珍しくありません。令和9年3月31日が、その多くの期限になります。
過料より重いのは、相続人が増えていくこと
実務で本当に困るのは、10万円の過料ではありません。時間が経つほど手続きが重くなることです。名義を放置している間に相続人の一人が亡くなると、その方の配偶者や子へ権利が移り、関係者が3人から8人、10人へと増えていきます。全員の署名と印鑑証明が必要になり、一人でも連絡が取れなければ止まります。面識のない親族に、突然「印鑑をください」とお願いすることになります。
兄弟のあいだで話が進まないときの順番は相続した実家、兄弟でもめないための進め方に、放置を続けたときに起きること全体は相続した実家を放置するとどうなる?にまとめています。

過料10万円より怖いのは、放っておくうちに相続人が10人に増えることだよ。全員の印鑑が要る。
柏市の実家なら、どこの法務局へ出すか
不動産の登記は、物件の所在地を管轄する法務局へ申請します。東葛5市は次のように分かれます。
| 物件の所在地 | 管轄 |
|---|---|
| 柏市・我孫子市・野田市 | 千葉地方法務局 柏支局(柏市柏6丁目10番25号) |
| 松戸市・流山市 | 千葉地方法務局 松戸支局 |
流山市の物件は柏支局ではありません。ここを間違えて出向く方が毎年いらっしゃいます。ご実家とご自宅が別の市にある場合は、必ず物件の所在地でご確認ください。申請は窓口のほか、郵送やオンラインでも可能です。
そろえる書類と、集め方のコツ
遺産分割協議で一人が取得する場合の、代表的な書類です。
- 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
- 被相続人の住民票の除票(本籍の記載があるもの)
- 相続人全員の現在の戸籍
- 不動産を取得する相続人の住民票
- 遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書(柏市の物件なら柏市役所。登録免許税の計算に使います)
- 登記申請書、相続関係説明図
集め方で知っておきたいのが、令和6年3月1日に始まった戸籍の広域交付です。本籍地以外の市区町村の窓口でも、まとめて戸籍が取れるようになりました。ただし制限があります。
- 取れるのは本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母)・直系卑属(子、孫)の戸籍。兄弟姉妹など傍系の戸籍は取れません
- 電算化されていない古い戸籍は、本籍地でしか取れません
- 郵送・オンラインでの請求、代理人による請求はできません。窓口へご本人が行く必要があります
- 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど、顔写真付きの本人確認書類が必要です
集めた戸籍は、法務局で法定相続情報一覧図にしておくと、その後の銀行・証券・税務の手続きで戸籍の束を出さずに済みます。交付手数料はかかりません。

戸籍は広域交付で近くの窓口でも取れます。ただし兄弟姉妹の分は取れないのでご注意を。
費用はいくらかかるか
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 不動産の価額(固定資産税評価額)の0.4% |
| 司法書士報酬 | おおむね7万〜10万円 |
| 遺産分割協議書の作成(依頼する場合) | 1万〜3万円 |
| 戸籍などの収集(依頼する場合) | 1万〜3万円 |
| 戸籍謄本 | 1通450円 |
| 除籍謄本・改製原戸籍謄本 | 1通750円 |
| 住民票・印鑑証明書 | 1通300円程度 |
評価額1,500万円の不動産なら、登録免許税は6万円。司法書士に頼めば、合わせて15万円前後が一つの目安です。知っておいていただきたいのが登録免許税の免税措置で、令和9年3月31日まで、次の場合は登録免許税がかかりません。
- 相続により土地を取得した方が、その登記をしないまま亡くなった場合の、その方を名義人とする登記
- 不動産の価額が100万円以下の土地についての相続による所有権移転登記
いずれも申請書に「租税特別措置法第84条の2の2」の条項を記載しないと適用されません。持分が細かく分かれた土地や、私道の持分で効いてきます。該当しそうな場合は司法書士にお伝えください。
3年に間に合わないときの「相続人申告登記」
相続人のあいだで話がまとまらず、3年以内に名義を移せないこともあります。そのために用意されたのが相続人申告登記です。「自分が相続人である」ことを法務局に申し出ることで、申請義務を簡易に果たしたものとして扱われます。
ただし、はっきりさせておくべき点が2つあります。
- 名義が自分に移るわけではありません。権利を公示するものではないので、この状態では売れません
- その後に遺産分割が成立したときの追加的な義務は、これでは果たせません。成立の日から3年以内に、あらためて所有権移転登記が必要です
つまり相続人申告登記は、過料を避けるための一時しのぎです。売却を考えているなら、通常の相続登記まで進めてください。
売却までの順番と、並んで走る期限
実家を売る前提なら、順番はこうなります。
- 相続人を確定する(戸籍を集める)
- 並行して査定を取る。いくらになるか分かると、遺産分割の話が具体的になります
- 遺産分割協議をまとめる
- 相続登記を申請する
- 売却(仲介または買取)
2番を1番と同時に始めるのがコツです。金額が分からないまま「どう分けるか」を話しても、まとまりません。
そして、登記と並んで走っている期限があります。相続空き家の3,000万円特別控除は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が対象です(昭和56年5月31日以前に建築された家屋などの要件があります)。登記に時間をかけているうちに、この期限が先に来ることがあります。手取りが数百万円変わることもありますので、適用の可否は税務署か税理士にご確認ください。実家じまい全体の順番は「実家じまい」は何から始める?にまとめています。
リノーズにできること
私たちは柏市を拠点に、松戸市・流山市・我孫子市・野田市を含む東葛エリアで不動産の買取と仲介をしています。登記そのものは司法書士の仕事ですので、普段から一緒に仕事をしている司法書士をご紹介し、売却の段取りと並べて進めます。
「名義が親のままなので、まだ相談できない」と思われている方が多いのですが、逆です。名義がそのままの段階でご相談いただくほうが、期限に間に合います。
戸籍集めから片付け、登記、引渡しまでまとめてお任せいただけるのが実家まるごとパックです。買取の条件は不動産買取、空き家の扱いは空き家の売却をご覧ください。
まとめ
- 相続登記の申請義務化は令和6年4月1日施行。取得を知った日から3年以内、怠ると10万円以下の過料
- 施行前の相続も対象で、期限は令和9年3月31日
- 遺産分割が成立したら、その日から3年以内にその内容の登記が必要
- 柏市・我孫子市・野田市は千葉地方法務局柏支局、松戸市・流山市は松戸支局
- 戸籍は令和6年3月1日から広域交付が可能。ただし兄弟姉妹の戸籍・電算化されていない戸籍は不可、郵送や代理人による請求も不可
- 費用は登録免許税が評価額の0.4%、司法書士報酬がおおむね7万〜10万円。令和9年3月31日まで、価額100万円以下の土地などは免税(申請書への条項の記載が必要)
- 相続人申告登記は義務を果たす簡易な方法だが、名義は移らないので売れない
- 相続空き家の3,000万円特別控除の期限が、登記と並んで走っている
ご実家がいまいくらになるのかは、住所と築年数が分かればお調べできます。無料査定は最短30分で価格と査定書をメールでお送りします。「名義がまだ親のままです」とひと言お書き添えいただければ、登記から引渡しまでの段取りと期間の目安もあわせてお出しします。
制度は改正されます。この記事の数字は目安としてお読みください。登記の手続きは司法書士または千葉地方法務局柏支局、税金は税務署または税理士に必ずご確認ください。
リノーズ株式会社 代表取締役 美澤由佳子



