「柏市に、空き家の解体費用の補助金はありますか」。ご相談でよくいただく質問です。
先にお答えします。柏市には、空き家の解体(除却)そのものに対する補助金は、令和8年9月時点でありません。お隣の松戸市には上限60万円の制度があるため、ネットで「東葛エリアの解体補助金」といった記事を読んで期待されてくる方が多いのですが、市によって制度はまったく違います。
ただし、柏市に使える制度がないわけではありません。塀の撤去、耐震診断、空き家の活用という3つの方向には補助があります。この記事では、柏市で実際に使える制度と金額、近隣4市との違い、そして「そもそも更地にしてから売るべきか」という判断までを書きます。
結論:柏市に解体補助はない。使えるのは別の3制度
柏市で空き家に関して使える補助を整理すると、次のようになります(令和8年9月時点。年度ごとに内容が変わります)。
| 制度 | 対象 | 金額の目安 | 担当課 |
|---|---|---|---|
| 危険コンクリートブロック塀等除却工事費補助金 | 高さ1.2メートル超で、道路等や通学路に面する塀の撤去 | 1メートルあたり1万円。上限は道路等で10万円、通学路で20万円 | 都市部建築指導課 |
| 木造住宅耐震診断費補助金 | 平成12年5月31日以前に着工した木造2階建て以下の住宅の耐震診断 | 診断費の5分の4、上限8万円 | 都市部建築指導課 |
| 空き家活用補助制度 | 空き家を地域の活動拠点などに活用する事業 | 対象経費の2分の1以内。活動補助は上限50万円、整備補助は上限150〜300万円 | 都市部住環境再生課 |
| 解体・除却そのもの | — | 制度なし | — |
つまり、「建物を壊す費用を市が出してくれる」制度は柏市にはありません。ただし、敷地のブロック塀が危険な状態で道路や通学路に面しているなら、そこだけは別枠で補助が使えます。

柏市に解体そのものへの補助はありません。でも塀と耐震診断には別枠で出ます。
ブロック塀の撤去は最大20万円(着工前の申請が必須)
柏市の危険コンクリートブロック塀等除却工事費補助金は、次の両方に当てはまる塀が対象です。
- 道路または敷地からの高さが、原則として1.2メートルを超えること
- 建築基準法上の道路等、または通学路に面していること
コンクリートブロック造のほか、石造やレンガ造といった組積造の塀も対象になります。補助額は塀の長さ1メートルあたり1万円を掛けた額と、実際の工事費のいずれか低いほうで、上限は道路等に面する場合で10万円、通学路に面する場合で20万円です。
ここで絶対に間違えないでいただきたいのが、申請は工事の契約をする前に行う必要があるという点です。交付が決まる前に業者と契約してしまうと、補助を受けられなくなります。「先に解体業者と契約して、あとから申請しよう」はできません。
令和8年度の受付は5月7日から11月30日まで、受件件数は20件とされています。件数に限りがありますので、使うつもりなら早めに都市部建築指導課(04-7167-1145)へご相談ください。年度が替われば内容も期間も変わります。
相続した実家のブロック塀が傾いている、というご相談は柏市でも多いです。倒れて通行人にけがをさせれば、民法第717条により所有者が賠償責任を負います。売る前でも、ここは先に手を打ってください。
近隣4市との違い——松戸市には上限60万円がある
同じ東葛エリアでも制度はばらばらです。令和8年9月時点で確認できた範囲では次のようになっています。
| 市 | 解体(除却)への補助 | 内容 |
|---|---|---|
| 柏市 | なし | ブロック塀除却・耐震診断・空き家活用の補助はある |
| 松戸市 | あり | 老朽空家等除却費用補助金。補助対象経費の3分の1以内、上限60万円 |
| 流山市 | 確認できず | 空家等管理活用支援法人の指定、管理不全空家等の判断の手引きなどを公表 |
| 野田市 | 確認できず | 空家改修工事助成金(改修への助成)が千葉県の一覧に掲載 |
| 我孫子市 | 確認できず | 市の窓口にご確認ください |
松戸市の制度は、昭和56年5月31日以前に建築され、おおむね1年以上使われていない建築物が対象です。こちらも交付決定の前に工事に着手すると対象外になります。事前調査の申請期間が年度ごとに区切られており、令和8年度は5月18日から7月17日まで、予定は15戸程度とされていました。使いたい場合は、年度の初めに動く必要があるということです。
「隣の市にあるなら柏市にもあるはず」と思い込んで、解体を先に進めてしまう方がいます。補助金は市単位です。物件のある市の窓口で、その年度の制度を確認してから動いてください。

先に業者と契約したら補助はゼロ。申請が先、契約はあと。ここで泣く人が本当に多い。
柏市で解体するといくらかかるか(目安)
補助が出ないとなると、費用は全額自己負担です。木造住宅の解体費用の目安は、延床面積1坪あたり3万〜5万円程度です。
| 延床面積 | 解体費用の目安 |
|---|---|
| 25坪(約83平方メートル) | 75万〜125万円程度 |
| 30坪(約99平方メートル) | 90万〜150万円程度 |
| 40坪(約132平方メートル) | 120万〜200万円程度 |
これに次の費用が乗ります。残置物の処分費、樹木や庭石・物置・カーポートの撤去費、ブロック塀の撤去費、そしてアスベストの事前調査費用です。一定規模以上の解体工事では、石綿(アスベスト)の有無を事前に調査し、結果を報告することが義務づけられています。
道路が狭く重機が入らない、隣家との距離が近くて手壊しになる、前面道路が通学路で誘導員が必要、といった条件でも金額は上がります。柏市の古い住宅地、たとえば旧沼南地域や昭和期の分譲地では、道幅の関係で割高になることがあります。
見積りは必ず2〜3社から取ってください。同じ建物で数十万円違うことは珍しくありません。
そもそも更地にしてから売るべきか
ここがいちばん大事な判断です。補助金の有無よりも、手取りに効きます。
更地にすると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がります。住宅が建っている土地は、200平方メートルまでの部分について課税標準が6分の1(都市計画税は3分の1)に軽減されています。建物を壊すと、その翌年からこの軽減がなくなります。売れるまでの間、毎年高い税金を払い続けることになります。詳しくは柏市の空き家、固定資産税はいくら?に書きました。
つまり、解体には「100万円以上の現金が先に出ていく」「売れるまで固定資産税が上がる」という二重の負担があります。それでも更地にする価値があるのは、次のような場合です。
- 建物が傾いている、雨漏りで内部が腐っているなど、見た瞬間に買主が引いてしまう状態のとき
- 駅に近く土地としての需要が強いエリアで、買主のほとんどが新築目的のとき
- 市から管理不全空家等や特定空家等として指導・勧告を受けているとき(勧告を受けると、更地にしていなくても住宅用地の特例が外れます)
逆に、建物がまだ使える状態なら、古家付き土地のまま売るという選択肢があります。比較は古家付き土地として売る?更地にして売る?柏市で手取りを比べるをご覧ください。買取であれば、壊さないまま、荷物も残したままお引き受けできます。

解体費100万円を気にして、3,000万円の控除を落とす。順番を間違えないでください。
解体して売るなら、3,000万円控除の手続きを先に確認する
相続した空き家を売るときに使える相続空き家の3,000万円特別控除は、建物を取り壊して敷地だけを売る場合にも使えます。ただし条件があり、昭和56年5月31日以前に建築された家であること、相続の直前に被相続人が一人で住んでいたこと、相続から3年目の年末までに売ることなどが求められます。
そして必要になるのが「被相続人居住用家屋等確認書」です。これは物件のある市が交付します。柏市も交付しており、空き家対策のページに案内があります。取壊し後に申請する場合は、取壊し前後の状況が分かる書類が必要になりますので、解体の前に、何を残しておけばよいかを市に確認してください。写真や電気・水道の使用状況の記録を求められることがあります。
「壊してから申請したら、必要な書類が揃わなかった」となると、3,000万円の控除を丸ごと失います。解体費用の100万円を気にして、その30倍の控除を落とすのは本末転倒です。条件の詳細は相続空き家の3,000万円特別控除、柏市の実家で使える?条件チェックにまとめました。
あわせて、相続登記が済んでいないと売ることも解体費用の精算もできません。令和6年4月から相続登記は義務になっています。相続登記の義務化、柏市の実家で何をすればいいかもご確認ください。
リノーズにできること
私たちは柏市を拠点に、松戸市・流山市・我孫子市・野田市を含む東葛エリアで不動産の買取と仲介をしています。
解体のご相談をいただいたとき、まずお出しするのは「壊さずに売った場合」と「壊してから売った場合」の手取りの比較です。解体費用、売れるまでの固定資産税、価格の差、そしてかかる期間を1枚に並べます。そのうえで壊さないほうが残るなら、そうお伝えします。
壊す方向で進めるなら、地元の解体業者の相見積りと、補助金が使える部分(ブロック塀など)の確認、3,000万円控除の書類の段取りまでご案内できます。私たちが直接買い取る場合は、解体もお片付けも不要です。仲介手数料もかかりません。条件は不動産買取、空き家の売却は空き家の売却、片付けから登記、引渡しまでまとめてお任せいただけるのが実家まるごとパックです。
まとめ
- 柏市には、空き家の解体(除却)そのものへの補助金はない(令和8年9月時点)
- 使えるのは、危険コンクリートブロック塀等の除却(上限10万円・通学路なら20万円)、木造住宅の耐震診断(上限8万円)、空き家活用(上限50万〜300万円)の3制度
- ブロック塀の補助は着工前の申請が必須。契約してからでは受けられない。令和8年度は11月30日まで、20件
- 松戸市には老朽空家等除却費用補助金がある(対象経費の3分の1以内、上限60万円)。制度は市ごとにまったく違う
- 柏市での木造解体費用の目安は延床1坪あたり3万〜5万円。残置物・樹木・塀・アスベスト調査が別途
- 更地にすると住宅用地の特例が外れ、売れるまでの固定資産税が上がる
- 管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、建物があっても特例が外れる
- 相続空き家の3,000万円特別控除は取壊し後の敷地譲渡でも使えるが、被相続人居住用家屋等確認書が必要。解体の前に市へ確認する
ご実家がいまいくらになるのか、壊したほうが得かどうかは、住所と築年数、間取りが分かればお調べできます。無料査定は最短30分で価格と査定書をメールでお送りします。「解体するか迷っています」とお書き添えいただければ、壊す場合と壊さない場合の手取りを並べた比較表もあわせてお出しします。
補助金の制度は年度ごとに変わり、予算や件数の上限で締め切られます。この記事は令和8年9月時点で柏市・松戸市の公式ページで確認した内容です。申請の可否と金額は、柏市都市部建築指導課(04-7167-1145)、柏市都市部住環境再生課(04-7167-2524)、松戸市住宅政策課空家活用推進室(047-366-7366)など、各市の担当窓口に必ずご確認ください。税金は税務署または税理士、登記は司法書士にご確認ください。
リノーズ株式会社 代表取締役 美澤由佳子



